岡倉天心と思い出が繋がった話

ふと思い立って岡倉天心の話をお茶講座に少し盛り込むことにした。
名前は知っている、どういう人なのかもなんとなくわかっている。
でも実はあまり詳しくは知らない。
早速本を図書館で借りてきて読み、動画などもいくつか見てみた。

彼は横浜という地で、早くから英語を身に着けて活躍した。
海外から日本を俯瞰して言葉を発しているからこそ海外の人にもここまで伝わったのだろう。

ふと思い出したことがある。
私は大学1年生の頃、カナダに1か月だけの短期留学をした経験がある。
ブリティッシュコロンビア大学の寮に半月暮らし、そのあとはホームステイをさせていただいた。

大学はとても広く、遭難しそうなくらいだった。
寮から授業を行うクラスへ行くにもかなり歩く羽目になる。
そして広すぎて最後まで全貌を見られなかった。←今みたいにGoogleマップとかないからね。

ある日、留学生の日本人が学内の散策に連れて行ってくれた。
そこにはなぜか日本庭園があった。
しかも広い。
橋の説明などもされ、写真も撮った(当時はデジカメがないのでフィルムカメラ)。
そして日本人の銅像が置かれていた。
見るとそれは「新渡戸稲造」だった。

19歳のアホな女子大生は名前は聞いた事があっても何をした人なんだか全くわからない。
何かを知りたかったら図書館に行くしかない時代。
当然英語ばかりの図書館に行ったとて何も理解できぬままだったろうと思う。
帰国してから調べようとも思わないくらいにはアホな学生だった。

先輩たちは新渡戸稲造の功績について語ってくれた。
残念なことに全く記憶に残っていないが。

ただ、カナダの大学にあった日本庭園がホームシックにかかりかけていた私の心を癒してくれたことははっきりと記憶している。
日本人らしいことなどなにひとつないのに、西洋文化にあこがれて日本を飛び出してきたのに、その日本風の小さな森に入ったら途端に気持ちが落ち着いたのだ。
それまで日本庭園などろくに行ったことはなかった。
これは日本人のDNAに埋め込まれたものなのか。
なんとも不思議な感覚で、今でも鮮明にその時のことを思い出す。

ホームステイ先のお兄さんが岡倉天心の「THE BOOK OF TEA(茶の本)」を勧めてくれた。
日本人なら読むべきだと。
日本人留学生たちも日本語で読むより原文で読む方が良いと言って一緒に本屋に行った。
その本は今も私の書棚に眠っている。

岡倉天心は「茶の本」でお点前のことを語ったわけではなく、茶道の精神を語った。
tea ceremonyではなく、Teaism
日清日露戦争のように戦いを好む黄色人種ではなく、西洋とは違う価値観の美を愛する心優しき人間たち、それが日本人なのだと。

日本語訳でさえも難しいため、何度も目が滑りつつ読んでみた。
当時の日本や世界情勢についても学ばないと理解するのは非常に難しい気がしている。
山のようにある岡倉天心に関する本や新渡戸稲造についての本も読んでみたくなっている。
そのため、今回講座では岡倉天心についてほんの紹介程度に留めるつもりだ。

岡倉天心の「THE BOOK OF TEA(茶の本)」を開いたら、30年前の記憶までたどり着いた。
19歳の頃のアホさも思い出して赤面するが、茶と関わっていなかったらその記憶さえも忘れ去られていたのだろう。

生きていると面白いことがあるものだ。
講座が終わったら思い出に浸りながらGoogleマップと写真を眺めてみようと思う。

(原文のTHE BOOK OF TEA(茶の本)は…多分読めない…)


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